医療知識

誤嚥性肺炎の原因と症状、看護問題・看護計画、おすすめ本の紹介


誤嚥性肺炎とは

食べ物が食道ではなく気管に入ってしまった場合、通常はむせて気管から排出する反射機能が働きます。
しかし、この機能が鈍ってしまうと、気管に入り込んでしまった食べ物を排出できず、結果として肺炎を起こすことがあります。

このように、食べ物や唾液などが、気管に入ってしまうことを誤嚥(ごえん)といい、誤嚥が原因で起こる肺炎を誤嚥性肺炎(ごえんせいはいえん)といいます。

引用:なるほど、摂食嚥下障害

高齢者の死亡の原因第3位に肺炎がありますが、そのうちの90%以上が誤嚥性肺炎です。

「肺炎」は抗生剤や入院したら完全に完治するかといえば、そうでもないのです。一度かかると、慢性的に繰り返すとも言われています。

肺炎予防は今後の高齢社会の課題でもありますね。

 

症状

次のような典型的な症状があります。

  • 発熱
  • 激しい咳と黄色い痰
  • 呼吸が苦しい
  • 呼吸副雑音がある
  • 胸部X線で肺炎像がある
  • 白血球増加、炎症反応亢進

しかし、高齢の場合は典型的な症状の他にも以下のような症状にも注意しましょう。

  • 元気がない
  • 食欲がない
  • ぐったりしてることが多い
  • ぼーっとしていることが多い
  • のどからゴロゴロと音がする
  • 口の中に食べ物をため込む
  • 体重が徐々に減ってきた

治療とデメリット

抗菌薬を用いた薬物療法が基本です。呼吸状態や全身状態が不良な場合は入院して治療を行います。同時に口腔ケアの徹底、嚥下指導も重要です。

引用:一般社団法人 日本呼吸器学会

高齢の場合、抗菌薬治療で肺炎が治ったとしても、入院中に筋力低下しADLが落ちていることがほとんどです。だからと言って、治療を行う急性期病院ではリハビリを第一に考えることはできません。

自宅から受診・入院したとしても、治療を終えたあとに自宅に帰れるADLなのかが問題です。高齢であればあるほど、治療後自宅に帰れる人はわずか。

入院を期にそのまま施設で過ごすことになることも多いです。

 

誤嚥の原因を姿勢や食形態で改善できるのなら良いですが、もうどうしても誤嚥している場合は、「口から食べれない」ということなので、それを自然と見るか、別ルートでの栄養を考えるかしなければいけないのです。

老いを受け入れるのは、本人にとっても家族にとっても耐え難い悲しみかもしれません。

でも、ある程度高齢で口から食べれないことは、老いた証拠であり自然なこと。たとえ家族が悲しくても。

シンママナース
シンママナース
人は致死率100%。いつか必ず死にます。老いて死ぬのは自然なこと。

ところが、看護師はそうは言ってはいられせん。毎度のことながら、その思いは胸に秘め、抗菌薬治療を行い、座位にして食事介助してみたり、輸液や内服だけでもと試行錯誤しております。

看護過程

誤嚥性肺炎になると、必然的に口から食べる量が減るため、低栄養・脱水・さらに嚥下機能低下になる可能性が高くなります。

しかしながら、低栄養状態だと肺炎治癒するまでの期間が長くなり、入院自体が延び、筋力低下からADLの低下につながります。そういったことを予防することが重要となります。

看護問題

#1 栄養状態低下のリスク
#2 筋力・ADLの低下

アセスメントと優先順位

#1は直接命に関わるリスクであり、高齢でありそのままにしておくと老衰、もしくは餓死です。本人・家族に意向を確認します。

#2入院前と同じADLを保つのは至難のわざ。ですが、できる限りADLは保持したほうがいいです。

看護目標と計画

O-P
・バイタルサイン(血圧、脈拍、体温、SPO2)
・呼吸状態(呼吸複雑音、喘鳴の有無、呼吸数、痰性状)
・意識レベル
・食事、水分摂取量
・嚥下障害の症状の有無
・口腔内、咽頭内貯留物の有無
・嘔気、嘔吐の有無
・疲労感、グッタリ感
・血液検査
・胸部X線など


T-P

・食事摂取時は正しい姿勢をとる
・痰が貯留している場合は喀痰させるか、吸引を行う
・意識がしっかりしているか
・適切な食事の形態を選択する
・食事に集中できるよう環境を整える
・吸引器を準備しておく、必要に応じて適宜吸引実施
・口腔内を清潔にする(絶食中でも)
・必要時は言語療法士による嚥下訓練を依頼する


E-P

・とろみをつけるなど、誤嚥しにくい食事が摂取できるよう工夫する
・一口の量は適当な量にし、飲み込んでから次の一口とゆっくり摂取するよう指導する
・口腔内を清潔に保つよう指導する

おすすめ本

口から食べれなくなっても、医療の進歩により栄養を補充し生きることができる世の中です。しかし、実際の現場では、栄養過多による浮腫や体重増加もあります。

また、胃ろうチューブから1日3回看護師が栄養を流して、家族がまったく面会に来ない患者さんにとっての尊厳ってなんだろう?って思います。日本は死に対してネガティブな感情を持ちすぎています。

これから看護師になるであろう看護学生、または家族が誤嚥性肺炎で今後に暗い感情をお持ちの方に一度読んでほしい本。


大往生したけりゃ医療とかかわるな (幻冬舎新書)

老人ホームの委託医の著者が、医療と関わらない自然死を進めています。高齢の自然死は餓死です。餓死はひどいものではありません。

今まで何百年も続いた人間の自然の死の形が、口から食べれなくなったことによる餓死なのです。