医療知識

透析に関わる看護師が知っておくべきリドカイン(ペンレス)テープ

リドカインテープを使って痛みを減らすのはずが、実はリドカインテープの効果がでるまでの時間がわからない。透析患者の「腕にテープを貼ってきて」と言われたが・・実はどこに貼ったらいいのか・・?なんて今さら聞けない。
そんな困りごとがあったのは私だけではないはずだ。😅

ネット上で検索してもいまいちピンとこないので、実際に透析看護師にリドカインテープを貼ってほしい位置を聞きました!それを元に記事を作成しています。

この記事では、透析患者に使用するリドカインテープということで効果や実際に貼り付ける部位などの基本的なことを記事にしています。お急ぎの方は、知りたい目次をタップして進んで下さい

看護師が知っておくべきリドカインテープ

私は夜勤のときに自分が勉強不足であることを実感することが多いです。夜勤って、日勤と違い受け持ち患者を1人で見ますので、ペアの看護師がいない分、自己判断も多い。

もちろん、一緒に夜勤をしている先輩看護師に相談もしますが、最初から最後まで相談しちゃうと、先輩看護師の仕事もできないので、ある程度の判断は任されがちになります。

ちょっと話はズレてしまいましたが、本日のお題でありますリドカインテープも夜勤明けの朝、透析室から「今連れてきてくださ〜い」とTELで急いでリドカインテープを貼ることになり慌てたものです。

どこに貼ったらいい?

基本知識

透析で使用する針はなんと16G!外径が約1.6mmということ。うーん痛いです!分かりやすくいうと採血の針の約2倍の太さ。
そんな太い針で2カ所も刺され、痛い思いをするのはイヤですね。できるだけ痛くないようにしたいのが本音。そこで登場するのがリドカインテープ。

せっかく良い物があるのに、貼る場所を間違えて穿刺部位に貼れていなかったり、効果を発揮するまでの時間を知っていて効果が出ていない前に穿刺することになったらせっかくのテープが意味のないことになったりもします。看護師として疼痛緩和を行う上で薬剤管理は大切なことですね。

リドカインテープとは添付文書の効能・効果によると

  1. 静脈留置針穿刺時の疼痛緩和
  2. 伝染性軟属腫摘除時の疼痛緩和
  3. 皮膚レーザー照射療法時の疼痛緩和

とあり、痛みの軽減が主な目的だということがわかります。有効成分はリドカインそのままでして、注射でも局所麻酔として使われたりしているとてもポピュラーな麻酔薬です(^^)

2枚貼り付け部位


少し複雑ではありますが、内シャントはこうなっています。手首近くで静脈と動脈をつなぎ合わせて、毎分200ccの血液が取れるようような血管となっています。

血液をひくことを脱血。ダイアライザーを通し、濾過された血液を戻すことを返血といいます。

リドカインテープ貼る部位
では、どこにリドカインテープを貼るかというとこです。

①返血できる血管 ②脱血できる血管 に貼ります。 そして前回穿刺部位を避けることです。

脱血はしっかり引ける血液が部位を選ぶことが大切なので、シャントから直のラインにある血管。返血は戻っていく血液血管のところですので、脱血と近い場所ではないところ。

こちらは内シャントで説明しましたが、シャントは十人十色。人工血管もいれば、ダブルルーメンなどいろいろ。(ごめんなさい、そこら辺はまだ勉強不足)

透析室で実際に穿刺したことがない人にとって、穿刺部位を予想することは難しい。わたしは、「この辺かな〜」と手探り状態で貼っている状況です。

しっかりしている人なら、患者さん本人に任せてもいいし、そうでないなら透析看護師に次回貼って欲しい場所をマーキングするようお願いするといいと思います。

効果持続時間

ラットにリドカインテープを2時間貼付し,リドカインの皮膚中濃度と血清中濃度を測定した実験では,皮膚中濃度は貼付2時間後に最高値を示し,血清中濃度はその2時間後に最高値示 した.また,ヒトにリドカインテープを4時間貼付してリドカインの血清中濃度を測定した試験では貼付開始6時間後(テープ除去後2時間)に最高値となった.ヒトにリドカインテープを12時間貼付して至適貼付時間を調べた報告では,12時間貼付で最も有効であった.本試験ではテープ貼付時間を120分としたが,貼付時間を延長することにより組織内のリドカイン濃度がさらに上昇することがこれらの報告より推定される.したがって,リドカインテープの深部痛に対する鎮痛効果については,貼付時間延長及び疼痛評価法の変更により,さらに検討の余地があると思われる.
参考文献
リドカインテープによる表在痛と深部痛の疼痛閾値の変化1999、藤本氏

かなり古い文献ですがラットと人で調査されていました。

文献を簡単にまとめると、「4時間貼付たあと、除去して2時間後の血中濃度最高」とのこと。透析はだいたい5〜6時間かかるので、効果が緩やかに上昇し下降するリドカインテープの効果の効きかたは穿刺痛・そのあとも続く疼痛緩和に対して有能といえます。

いつ貼るか

うちの病棟では、透析前30分前にリドカインテープを貼る指示となっています。これは薬局の薬剤師さんの指示です。リドカインテープの添付文書にも穿刺前の30分前に貼付とありますので、これを基本に覚えるといいと思います。

ただ効果が出るまでに個人差があるようです。透析を受けている方のブログをいくつか読みましたが、30分前で良い方もいれば、2時間前がちょうど良かったりしています。また、あまり長時間貼り過ぎるとかぶれてしまったり皮膚トラブルもあるようです。

自分で管理している生活が自立している方、意思がしっかりわかる方の場合は、自分でちょうど良い時間を知っているのでお任せしてもいいかと思います。
そうでない場合は、30分〜1時間前に貼るのをおすすめします。上でも説明した通り、貼ってから6時間が血中濃度が最高潮。薬剤がちゃんと皮膚から吸収されることが望ましいです。

皮膚の状態と効果を発揮するまでの個人差あるので、何が正しいという決まりはなく臨機応変な対応が必要ということ。

看護師ならではの観察力が必要になってきますね✨

通販で購入できるのか

リドカインテープは他にも呼び名があります。「ユーパッチ」「ペンレステープ」このテープたちも会社によって商品が違うだけで、有効成分はリドカインでして成分は一緒です。

通販で売っているのかというとこですが・・医薬品ということもあるからか私の探す限り通販では売ってないようです。欲しい方は、主治医へ相談し処方してもらいましょう。

小児も使用できるか

リドカインテープ小児

見えにくいですが、添付文書に記載ありました。3才以下でも使えるようです。そして1回あたりの最大枚数は結構使えるw

ただやはり、麻酔ですので私個人の感想は小児には使わないにこしたことはないですよね。

うちの病棟は実は小児科です。小児のライン取りにはエムラクリーム活用したりしてます。使い方は、手背や前腕のラインを取る辺りにエムラを塗って60分待って穿刺するのですが、肉で埋もれたプニプニの腕なので、ここ辺りという目安をつけていていても1発で取れることも少なくない。
そうなると、エムラを色んな所に塗らないといけなくなったり、最悪エムラを塗っていない所に穿刺することもあります。

透析患者さんの中には、リドカインテープではなくエムラクリームを使用している方もいるようです。

ただ透析となると、穿刺する所はシャントの辺りだと分かっているのでリドカインテープと同様に使い勝手はいい局所麻酔クリームだと思います。

エムラクリームですが、海外からの通販で売っているようです。ただ1本あたり3千円〜1万円と高額。こちらも処方してもらうことが1番良さそう。

水いぼ

娘に水イボができたことがあって、皮膚科で取ったことがあります。そのときのクリームは恐らくエムラクリームだったのではないかと思っています。
クリームを塗って15分ほど待って取ったのですが、かなり大泣き。痛いというよりも恐怖の方が強うそうでした。

というか15分は短すぎ?wと思いました。

エムラクリームは60分塗布で、最高120分を超えないことと添付文書にありましたので、使う時はそのようにしてください☺️

まとめ

透析とは、もはや腎臓という臓器の一部を補うものなのですから、シャントは透析患者様にとって命といっても過言ではないほど大切なもの。シャント管理は大切ですね☺️

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