こんにちは☺️コロナ禍の中、毎日の子育てお疲れさまです☆小児科看護師あんこです。
今回は環軸椎回旋位固定という難しい名前の、首が曲がったまま動かない!!子どもによくある病態についての記事です。
よくあると言っても、10万人に数人程度らしい。しかしそんな数値は関係ない。我が子に起こると100%。
主治医からの話はよく分からなかった両親や、看護学生で受け持ちになったなどの方向けに書いてます。
環軸椎(環軸関節)回旋位固定とは
環軸椎(環軸関節)回旋位固定とは(読み:カンジクツイカンセンイコテイ)
首には7つの骨があり、1番上を環椎 2番目を軸椎 といいます。その2つは形が異なっており1番目の環椎はリング 2番目軸椎はネジ。その仕組みで首は上下左右の色んな方向へ回るのです。
難しい病名ですが簡単にすると「環軸椎が回旋した位置で固定された。」というそのまんまの意味です。そう考えると簡単☺️
自由自在に首を回すその骨が固定してしまった、と言うことで首が回らなくなってしまうわけです。
整骨院グループさんのホームページにすごく分かり易い画像がありました!
ボルトとナットがずれてしまい、首が回らなくなってしまうのが「頸椎回旋位固定」というものです。子供の場合、2番目の骨(ボルトの方)が未完成な為に亜脱臼(ずれてしまう)しやすいのです。
あみはりきゅう整骨院グループ
環軸椎回旋位固定の原因
小児〜学童期の10歳以下の子どもに多く、強い衝撃ではなく、 ほんの些細なことで起こります。
小児に多い原因として
- 歯突起の形状がまだ未成熟のためズレやすい
- 関節が柔らかく回旋角度が大きい
- 骨の支持がそこまで強くない 靭帯組織が柔らかい
- 環軸関節の軟部組織が大きく喉風邪の炎症が広がり易い(10%程度)
スポーツ中に首を捻った、遊んでいるときに転んだ、軽く首を打ったなどのこれかな?と思われる原因もありますが、朝起きたら首が回らなかった、何もしていないのに急に動かなくなったということがあるのです。
寝違えだと勘違いされ、ほおっておいても治ることもありますが、もし環軸椎回旋位固定だと筋肉や靭帯が緊張したままなので治るまでに更に長い時間かかってしまいます^^;
首が曲がったままや、動かすと痛がる場合は、これから説明する症状と比べ、早めに整形外科受診することをおすすめします😁
症状
- 首が左右どちらかに傾いている
- 傾いたまま動かせない
- 無理に動かすと痛みがある
典型的な症状は首の傾きで斜頸といいます。
寝違えでも似たような症状なので判断が難しいですが、斜頸はこの病態の典型的な症状であるようです。首が傾いたようなままですが頭を水平に保つために体幹がまでもが傾いた感じになります。
寝違いとの違いは、寝違いは顔だけが傾いた感じでしょうか。
筋肉や靭帯の損傷なのか、環軸関節回旋位固定によるものなのか迷ったり、10日経っても症状が全然改善しないのなら医師に診察してもらう必要があります。
子どもは成長期ですので、放っておくと姿勢や成長にも影響を与えてしまいます。
保存・牽引・手術 治療
重症度の順に4つのタイプがあります。
- タイプⅠ 前方偏位を伴わない単純な回旋転位です。こちらが最も多く見られ、通常は自然に治癒します。
- タイプⅡ 前方偏位が5ミリ以下のもの。
- タイプⅢ 前方偏位が5ミリを超えるもの。まれであり神経学的異常がでることがある。
- タイプIV 後方偏位を伴う回旋転位で、危険を伴います。まれであり、神経学的異常を高い確率で伴う。
ほんとが数日から10日で自然治癒することもあるタイプから要注意のタイプがあります。
一般的にタイプ IとタイプII は痛み止めと頚椎カラーで保存療法、タイプ III以上はグリソン牽引などの必要性があるとされます。
関節変形がみられ整復が困難な場合や神経症状を伴う場合、慢性化して牽引でも改善しない場合は手術適応となります。
また、のど風邪の影響で炎症が原因とされる場合は、抗生剤を使用することもあります。
グリソン牽引
カラーを1週間以上使用しても治癒しない場合でも、持続牽引治療(グリソン牽引)を行うこととなり、この治療法が1番身近にあると思います。
私の病棟にも年に数名が入院してきます。
グリソン牽引は、入院してシャワーやトイレ以外は持続的に首を引っ張る治療です。見た目重そうで痛みを伴いそうですが、引っ張って仕まえばそこまで痛くはないそうで。ただ傾いた首を前向きに戻すため最初だけ痛みを伴います。
なので、入院して首を前向きに戻すときだけ、ウトウトする薬を使ったりします。また、時には常に傷みがあるため、鎮痛剤を内服して治療を継続することもあります。徐々に良くなってきます☺️
この治療の大変なところは、常にベット上で上向もしくは少し横向きのため動きたい盛りの子どににとってはとても苦痛な時間。
子どもも暇なあまり、少し治ってきたら装着を嫌がったり、何度もトイレに行ってみたり、両親も本人もそれが辛いところ。
うちの病棟にも、装着嫌がるあまりなかなか持続的に牽引ができず、治療が長引いたり、両親がストレスを感じるようになることもあります。
入院中がレントゲンを撮影して治療の経過を見ていきます。
症状がしっかり治った、カラー装着で外来通院で良さそう、と思ったら退院どき。1週間ほどが目安かと思います。家族と看護師・主治医で頑張っていきましょう☺️
まとめ
子どもが痛がったり、首だし・・・と言うことで心配されるかと思いますが、しっかり治療することで治ることのできる症状ですのであまり心配されず、わからないことは主治医・看護師に相談してください☺️