看護学生、看護師、医療関係者だけでなく、一般の方にも超がつくほど、わかりやすいと思いました。また、山中伸也さんの解説が、結構うんちくって感じでいいんです~。
なんか真面目すぎないってゆうか・・w
もくじ
記念すべき第1回目
複雑かつ精巧な腎臓
・・・腎臓? と思いましたか?
知っての通り「尿を作るには、腎臓」というぐらいしにか考えられていない目立たぬ存在の腎臓。
腎臓の一般的に知られている役割は一「尿」を作る
尿は、体にいらない物(老廃物)といわれていますが、果たしてその「体にいらない物」ってなんだかわかりますか?
と石原さとみさんに投げかけれらる質問。世間では”尿を出すこと=デットクス”なので、大事ということは知ってます。しかし、タモリさんここで「毒を食べてるつもりはない」と発言。
確かにそうですね。体内に入れる毒と言ったら飲みすぎたアルコール位でしょう。だがしかし実は、そんなに単純なものではないんです~~。
・・実は今、世界の研究者たちが競って、腎臓の複雑かつ精巧な仕事の解明に乗り出しているのです。脳や心臓にまったく引けをとらないスーパースターなんです。
尿を出すこと以外にも、腎臓のすごい機能を興味のある方はぜひ続きを読んでくだされ~^^。
この第一回目をみて、腎臓の働きを知ったら、きっとトイレで尿が出るとき感謝するようになるでしょう☆
私は、NHKの放送を見逃しちゃったので、ネットで見ました☆有料の動画サイトですが見る価値あり!
気になるあなたなら、ぜひ見ることをお勧めします♪
スーパースターの腎臓
体内パワーを左右する
アスリートの中では有名な訓練に「高地トレーニング」があります。
持久力が必要な競技は、体の中の酸素が低いとパフォーマンスが低下するといわれています。
つまり、酸素が低下しなければパフォーマンスが上がるということですね。つまり選手は「競技中に低酸素になったら困る!」わけです。
そこで、競技中に低酸素状態にならないよう訓練に欠かせないのが高地トレーニング。
高地トレーニング(こうちトレーニング)
低酸素トレーニングともいう。高地の環境条件への適応を目的としたトレーニングで,主として心肺持久性を高め,平地における負荷の相対的軽減を可能とする。
低酸素にならないよう行われているのが酸素の薄い高地でのトレーニング??。。酸素が薄いところでトレーニングすると、酸素が薄いので一時的に酸欠状態になります。
酸素の低い高地でトレーニングし、故意に体の中を酸欠状態にしているんです。。
酸欠状態で約数週間(個人差あり)トレーニングを続けます。
そうすると・・・・薄い酸素の中でも十分な酸素を保つことができるようになってきます。(オドロキ!!)
それを、「高地順応」といって、別名「体が慣れた」等と表現することもあります。
こうち‐じゅんのう〔カウチジユンオウ〕【高地順応】
平地から高地に移動して一定期間滞在すると、酸素が薄い環境に合わせて呼吸機能や循環機能が高まる現象。これを徐々に行うことで標高数千メートルの高所登山に備えたり、持久力を要する運動競技のトレーニングをしたりする。 引用/デジタル大辞泉
ただ、単純に「体が慣れた」のではなく、腎臓が発するメッセージによって赤血球が増え、酸素をより多く運ぼうと、体の中では凄まじいことが起こっているのです。
酸欠状態に慣れる
酸素が足りなくなると、すぐさま腎臓が反応し「エポ(EPO)」と呼ばれるメッセージ物質を出します。(EPO:正式名称はエリスロポエチン。)
「酸素が足りない!!!!!」「酸素が欲しい!!!!」ということを、ほかの臓器に教える最初のメッセージがエポです。
エポが届く先は、骨!!!(赤血球は骨髄といって、骨の中で作られてます。)
骨に届いたエポのおかげで、赤血球は増えます。赤血球が増えることで、全身に酸素を送ることができる量が増えます。(赤血球の中ヘモグロビンがいます。ヘモグロビンが酸素を運びます。)
腎臓が骨にむけて発するメッセージは、全身の酸素濃度を調整するため生きていく上でとっても重要。
腎臓が「エポ」を作れないと、重度の貧血になってしまうのです。(それを腎性貧血と言い、慢性腎不全の患者さんに見られます。)
今までは、脳のみが指令を出すと考えられていましたが、今は臓器それぞれが直接メッセージを送り合うネットワークの存在と知られてきました。
腎臓は酸素濃度だけでなく、あらゆるメッセージ物質をとりまとめているとされています。
そこで今、世界に注目されている臓器が「腎臓」なのです。
血圧を調整する
血圧の薬を何種類飲んでも血圧が高いの改善しない医療の限界と言われる重症高血圧。上が200mmhgとか(正常は140mmhg以下)
そこでも、腎臓が注目されています!!
血圧を監視し調整するメッセージ物質「レニン」
「レニン」は、「血圧を上げよう」というメッセージ物質です。
「レニン」を腎臓が出すと、血管が収縮し血圧を上げることができます。
(レニン-アンジオテンシン-アルドステロン系といってさらに複雑な仕組みがありますが、長くなるのでそれは又いつか。看護学生で今から国家試験という方は必ず理解している必要がありますよ~。)
腎臓は「レニン」の量を絶妙に調整している重要な仕事をしています。そのため、高血圧患者は、「レニン」が出すぎていると考えられているのです。
その治療として「イツでは、「腎デナベーション手術」というレニンを放出する神経の一部を焼き切る高血圧の最新医療が始まりました。
これで、重症高血圧で打つ手なくとされた患者さんが正常血圧まで下がったと報告されています。(医療の進歩はスゴイ!!)
血液の管理
血液に乗ってやってきた他臓器からのメッセージを拾うことも腎臓の役割です。
- 酸素が欲しい
- 血圧を上げよう
- リンが不足しています
- 疲れました
心臓が送りだす4分の1が腎臓へ入り、24時間休まず成分の微調整を行っているといわれています。
ですが、腎臓自身が判断し調整を行っているのではなく、全身を飛び交う様々な臓器からのメッセージを聞いて、血液成分の再吸収の量を決めていると言われています。
例えば、心臓が疲れたときに出すメッセージが届いたら、腎臓は塩分の再吸収を減らし、体の塩分を減らすために尿に多く排出するようになります。そうすると、塩分が減り、循環血液量が減り、心臓の負担が減り、血圧が下がる、という仕組み。
成分調整の中心的な存在
- 塩分
- カリウム
- カルシウム
- マグネシウム
- リン
・・・・など
という成分の調整を行っています。多くても、少なくてもいけない。微調整が必要な物質の調整を行っている腎臓は、人体でもっとも複雑で精巧な作りといわれています。
カリウム量が多すぎても、少なすぎても不整脈になります。
普段は腎臓が微調整し多い分は排出してくれます。
腎不全になってしまうと、カリウムを十分に尿に排泄することができずに、体内に蓄積してしまいます。血中のカリウム濃度が上がってしまうと危険な不整脈が起きたり心臓が止まって突然死することもあります。そのため、カリウムが多く含まれる「バナナ」は腎不全患者さんには禁止ということなのです。
長寿の鍵は腎臓にあり
若さを操る「リン」
生き物には、ほぼ決まった寿命があります。
うさぎ・・・およそ10年
羊・・・およそ20年
像・・・およそ70年
寿命と体の関係を見てみると、体の大きい生物が寿命が長い生き?という感じ。
しかし、これに当てはまらない生物たちがいます。
コウモリ・・・およそ30年
人間・・・およそ75年
どうして、当てはまらない動物達がいるのでしょうか?
ここで血液中の「リン」という一つの成分に注目されました。
上の動物たちを血液中のリンの量が、多い順に並び替えると寿命に合わせてきれいに並びました。
- ネズミ・・・およそ3年
- うさぎ・・・およそ10年
- 羊・・・およそ20年
- コウモリ・・・およそ30年
- 像・・・およそ70年
- 人間・・・およそ75年
要するに、血液中に「リン」が少ない方が長生きする
という研究報告がされたのです!!!!!
リンは、肉や豆に含まれる大切な栄養素。少ないと呼吸不全や心臓病となる、しかし多いと老化が進むということです。
腎臓が寿命を決める
リンが老化を加速させるメカニズムは、現在解明の途中ですが、血液中のリンが増えると 血管の内側で石灰化という現象が進み、全身の血管が硬くなることが一因と考えられています。
ということは、腎臓の機能が落ち、リンの排出が困難になってしまうと、寿命が縮む。
腎臓の機能が落ちると、老化が加速するんです!!
これは、人も動物も一緒。
逆に、腎臓の働きがよければ、寿命も伸びるということ。
腎臓と寿命は密接な関わりがあるのです!!
ところで、「リン」て普段どこにいるんでしょう?
リンは骨に貯蔵されてる
リンの量を絶妙にコントロールしている腎臓が耳をすましてメッセージを聞いているのは、なんと骨。
骨は体内のリンの貯蔵庫としてその量を常に監視しています。骨から「リンが足りています。」とメッセージを受け取ると、腎臓はメッセージを受け取りポンプを停止し、リンが増えるのを防いでいます。
私たちは、リンがないと生きていけない。
しかし、リンが多いと老化が加速し、骨がカスカスの骨粗しょう症、血管が硬くなり動脈硬化となってしまいます。
この複雑で精緻な仕組みが、寿命を決めているのです。
NHKスペシャル、人体の神秘の巨大ネットワークで「骨」についても放送しています。
→「若さを保つには運動。骨の出すメッセージ物質」
腎臓への意識が変わってきた
多臓器不全を未然に防げる
世界の医療現場で今、腎臓を常に観察する大切さが叫ばれて始めています。
腎臓の働きが弱いと、多臓器不全に陥り深変な状態になるからです。
イギリスのある病院で一人の女性が感染症で入院しています。
最新のシステムで腎臓の異常を発見、「急性腎障害」と警告されました。
腎臓以外の病気であっても、どうして腎臓に影響をもたらすのでしょうか??
それは、腎臓が多臓器の要であるがゆえに、他の病気であったもその影響が波及してくるからです。
はきゅう 【波及】水に投げた石で輪を描いて波が広がるように、物事の影響が一点から段々に他に及ぶこと。
例えば、心不全になると流れてくる血液が減ります。すると、常に大量の血液を必要とする腎臓は大きなダメージを受けます。同様に、腎臓は他の臓器とも深く関わりあっているので、どこが悪くなっても腎臓に悪影響が出てくるようになるのです。
今医学の世界で注目されているキーワードがあります。
- 心腎連関(しんじんれんかん)
- 肝腎連関(かんじんれんかん)
- 肺腎連関(はいじんれんかん)
- 脳腎連関(のうじんれんかん)
- 腸腎連関(ちょうじんれんかん)
- 骨腎連関(こつじんれんかん)
この連関ゆえに、事態はさらに悪化していくのです。
ネットワークの中心的役割である腎臓が機能を落とすと、多臓器にも影響を与えます。さらに、この影響が他の臓器に跳ね返り、「多臓器不全」となりうるのです。
今まで単に「多臓器不全」と言われ、亡くなられていた患者さんも腎臓を守っていれば助けれた可能性があったのです。
腎臓を守る治療
京都大学では、腎臓の専門医が新たな取り組みを始めました。腎臓以外の病気の患者さんの治療にも積極的に関わり、主治医と連携しながら、使用する薬剤の量などについて話合うのです。
人体をネットワークとして捉えなおしたことによる、医療の新たな道が始まりました!!
さいごに
全身の臓器と語り合う深く結ばれている「腎臓」。複雑・精緻というだけに人体でもっとも傷つきやすいという宿命も持っていました。
今この瞬間も腎臓は働き続けています。