医療知識

PCAポンプとは〜4年目看護師が解説

こんばんわ!今回はPCAポンプについてです!

PCAポンプってなんだかめっちゃ難しそう! しかも麻薬を取り扱うし、間違えちゃったら怖い!!機械操作だし苦手苦手!!

私の病棟ではPCAポンプが触る機会がありません!!汗 触る機会がないと、さらに慣れる機会がなく、本当に操作できなくなっちゃいます。

しかもディスプレイが漢字以外は「カタカナ」表記というところがとても読みにくい!涙

でも実はPCAポンプって看護師をめちゃくちゃ助けてくれるものだと知っていたでしょうか

えぇ〜⁈と思った看護学生・看護師さん必見なので最後までお付き合いください\(^^)

PCAポンプとは

PCAは、自己調節鎮痛法(patient-controlled analgesia:PCA)の略語で、経静脈的自己調節鎮痛法(intravenous patient-controlled analgesia:IV-PCA)と皮下投与(subcutaneous patient- controlled analgesia:SC-PCA)があります。

PCAに主に使用されるオピオイドは、投与量に比例して鎮痛効果が得られるわけではなく、閾値となる投与量、血中濃度を越えた時点で鎮痛効果が出現すると言われています。

悪性腫瘍による痛みの原因と部位は多岐にわたり、痛みの程度や性状が状況や時間経過によっ て変化します。患者の痛みの程度を評価しながら少量投与を繰り返し、痛みが治まる状態まで血中濃度を上昇させていくことが必要なのですが・・・痛みは自分自身にしかわからない感覚なので、客観的な評価が難しい。さらに、その鎮痛効果が得られる閾値の個人差が大きいことも疼痛コントロールの難しいところです。

PCAポンプは、痛みを感じたときに患者自身がすぐに鎮痛剤を使えることが1番のメリットです。

患者にも看護師にもメリットが多い

そうです、PCAが導入されるまでは、患者さんが痛みを我慢する時間が長いのは問題でした。

患者が痛みを感じると、看護師を呼んで、看護師が痛みの評価をします。それから、鎮痛剤が必要となれば、医師の指示を確認するか、または医師に処方してもらうことになって、ようやく患者の元へ鎮痛剤が運ばれてくるのです。

夜間帯などのスタッフが少ない時間帯は、この時間がさらに長くなってしまいます。鎮痛剤が届くまで患者さんはその苦痛に耐えなければならないので、痛みを我慢することでかなり苦しむことになってしまいます。術後や癌性疼痛となればその訴えが頻回で、同じような患者が何人もいるとすぐに対応できることが少なくないのです。

中には、看護師を呼ぶのをためらい、痛みを我慢する患者もいます。痛みがあるために早期離床ができず、通常の日常生活を営むのに時間がかかることだってあります。

その状況を打破するPCAは、必要なときに直ちに鎮痛剤が投与できます。しかも看護師を呼ばずに自分でできるので、ためらいもありません。

PCAポンプのおかげで患者が痛みを訴えてから鎮痛剤投与までの時間の短縮と、看護師の業務改善にもつながる画期的な機械でした

PCAポンプの基本の3つ

PCAポンプの3つの基本設定で患者の安全が守られています。

  1. 持続投与
  2. ボーラス投与(ドーズ投与)
  3. ロックアウト時間

疼痛でよく使われる医療用麻薬のモルヒネとフェンタニルは厳重な管理が法令で定められています。

通常なら入院によって金庫保管が義務付けられていて厳重管理のもとで投与されるべきと決められていたのですが、PCA機器によって自宅に持ち帰ることができるようになりました。終末期の癌性疼痛でも在宅で過ごすことができるようになったのは、素晴らしいことです。

持続投与

持続投与機能は、シリンジポンプなどと同じで鎮痛剤を一定量を持続投与することです。ベース速度ともいい、患者さんがボタンを押さなくても持続的に鎮痛剤が投与される設定です。

血中濃度を常に一定以上に保ち、作用持続時間が短い鎮痛剤や、睡眠中に痛みで覚醒してしまうことを防ぐことが目的です。

PCAに使用される薬剤は主に、硬膜外投与の場合は局所麻酔とオピオイドの併用、静脈投与の場合はオピオイドとなっています。

<div class=”simple-box9″><p>
<PCAの使用薬剤>
〇局所麻酔薬
・リドカイン
・ロピバカイン(アナペイン)
・メピバカイン(カルボカイン)
・ブピバカイン(マーカイン)

〇オピオイド
・モルヒネ
・フェンタニル
</p></div>

ボーラス(ドーズ)投与とは

PCAポンプのメリットここにあり‼︎最大限に活用できるためにボーラス(ドーズ)は必ず知る必要があります。そして大切なことなので患者さんに看護師が積極的に説明する必要があります。

痛くなり始めたり、 痛いと感じたら我慢せずにボタンを押してください!

PCAポンプは、患者自身がボタンを押すことでボーラス(ドーズとも言う)投与できる画期的なボタンがあり、するとかなり少ない量の鎮痛剤が投与される構造となっています。

強い痛みを抑えるほどの量ではなく、少ない量なので強い痛みを感じてから押しても、十分な鎮痛効果が期待できないと理由から痛くなり始めたり、痛いと思ったらすぐに押すということが大切です。血中オピオイド濃度が下がってしまってからボーラス(ドーズ)投与しても血中濃度が上昇しにくいためです。
モルヒネは4〜5時間と比較的長時間作用し、代謝産物にも鎮痛効果があるので持続投与は原則として併用しません。
一方、フェンタニルの作用持続時間は30分程度と短く、ボーラスだけではボーラス回数が増えるので、持続投与を併用することが多いです。

ただし先ほども説明したように術後疼痛や癌性疼痛は個人差が大きく、麻薬の種類や作用時間で決めるのではなく、患者さんの状態に応じて調節していくものです。

ロックアウト時間とは

ロックアウト時間!!

初めて聞いた時は、なんだその格闘技ぽい言葉って思いましたw

実は、こちらは安全対策としてとても重要で過剰投与の防止が目的となっています。ボタンを押してから薬の効果が出るまでに数分かかるので、患者さんがボーラス(ドーズ)を立て続けに要求してしまった場合、鎮痛剤の投与間隔を制限する時間のことで過剰投与にならないための安全設定となっています。

通常のオピオイドの静脈内投与であれば10分程度と言われています、例えば、ロックアウト時間10分という設定で説明します。

患者さんが「痛み初めてきたな」と思いPCAボーラスボタンを押します。するとあらかじめ設定されていた少ない量の鎮痛剤が投与されます。その後10分間は何度押してもロックがかかった状態でボタンを押しても投与されないロックアウト時間となるのです。

もちろん持続投与はされています。10分が経過すれば、またボタンを押すことで鎮痛剤投与が可能な状態になり、またロックアウトの10分間がやってくるという繰り返しとなっていきます。

患者さんからロックアウト時間中に「ポンプが動かない」と言われることがあります。これは安全機能として必要なことだと説明します。それでも「痛い」などの訴えがある場合は、疼痛評価、ボーラス回数などの回数・時間と合わせて主治医・麻酔科との相談となります。

注意するべき副作用

いいことばかり言ってきましたが、もちろん副作用も必ずあります。オピオイドの副作用でよくあるのは、嘔気・嘔吐、便秘、鎮静、呼吸抑制など。

過鎮静、呼吸抑制は有効血中濃度以上に達する投与量で起きます。しかし嘔気・嘔吐は、逆に有効血中濃度以下で発現することがあります。

呼吸抑制

呼吸抑制はオピオイドのμ受容体への作用により、延髄の呼吸中枢の抑制によって起こります。呼吸抑制は鎮痛のための有効血中濃度以上に達する投与量で起きます。

定義:呼吸回数が8〜10回/分を下回る。酸素飽和度が90%未満。動脈血酸素分圧が50mmhg以上となる。のいずれかに当てはまる場合となっています。病棟では、呼吸数・呼吸状態・酸素化・意識状態を定期的に観察します。

治療は基礎持続投与を行なっている場合は、基礎投与量を減量まはた中止しボーラス投与のみで鎮静とする。モルヒネによる呼吸抑制はナロキサンが有効とされ、副作用を減少させモルヒネの必要量を減少させると言われています。

嘔気・嘔吐

モルヒネによるIV-PCAで制吐剤を用いない場合、嘔気・嘔吐は約半数に発生すると言われています。

嘔気・嘔吐は3つの経路で引き起こされます。

  1. 延髄第四脳室底の化学受容器引金帯(CTZ)への直接作用により起こる
  2. 前庭器を過敏にさせることでCTZが刺激される
  3. 胃前庭部の緊張が高まり、腸蠕動運動の低下から胃内圧が上昇し、CTZが刺激される

術後の嘔気・嘔吐の危険因子は、女性・非喫煙者・片頭痛の既往、全身麻酔、婦人科手術・疼痛である。

治療は基礎持続投与を行なっている場合は、基礎投与量を減量まはた中止しボーラス投与のみとする。治療薬は、ドロペリドール、メトクロプラミド、ナロキソン、デキサメタゾン、セロトニン受容拮抗薬があります。

排尿障害

オピオイドの全身投与で尿閉は10〜50%に起こると言われています。排尿が4時間以上ない場合は導尿を検討し、疼痛が軽度であればオピオイド投与の中止を検討します。

まとめ

この機械のおかげで患者さんを術後疼痛や癌性疼痛から守れます。また今までは癌性疼痛の帰れなかった患者さんが最期を在宅で過ごせるようになったことです。

今は術後の患者さんがオペ室からPCAポンプをつけて病棟に帰ってくることも多いです。外科から始まり、整形・泌尿器・循環器・・などの多岐にわたる科で必要になってくる知識です。

いかがでしたか。PCAポンプ実は優秀すぎる画期的な機械だったのです。あまり優秀すぎてPCAポンプ♡までつけたいぐらいですね。

それでは、最後までお付き合いありがとうございました。

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