医療知識

真空管採血の前に知っておきたいスピッツの順番、翼状針つきの違いとは

以前にシリンジ採血スピッツ分注順番を記事にしたところ、ここ最近の閲覧数が上がってます。私のように悩んでいる方と知識を共有できているんだと嬉しく思います✨今回も当ブログへの訪問ありがとうございます☺️

今回は真空管採血(ホルダー採血)のスピッツ差し込みの順番についてです。4月は新1年生がやってくる1年で1番ドキドキハラハラする時期です。早い方では4月上旬から採血の練習から始まり、ライン確保となってきますね。

私もつい最近まで分注順番は曖昧でしたが、今はもう大丈夫❗️と胸張って言えるようになりました。大事な検体(血液)の検査結果がきちんと出るようスピッツの順番を覚えましょう⭐️

スピッツは「真空採血管」といいますが、今回の採血は「真空管採血」というややこしいもの。なので、ここからは真空管採血(ホルダー採血)ということにします。

⚠️今回は真空管採血(ホルダー採血)の場合の差し込み順番としてます。

シリンジ採血の場合ではまた順番が違うのでこちらへ→シリンジ採血どのスピッツから?

真空管採血の前に知っておきたい

真空管採血(ホルダー採血)は2種類

採血針とホルダーが一体となっているものと、翼状針がついたルート長めのもの。どちらもホルダーにスピッツを刺し込めば採血が行えるという優れもの。どちらにもメリットデメリットがあります。その時と場合によってどちらを選ぶかはあなた次第。

 

針+ホルダーは針を刺したときに逆血といって血管に入ったことの確認ができず、自分を信じてスピッツを刺し込むというプロ根性が必要という物にとなっています。またまた、針とホルダーが一体なので、スピッツを刺しこんだとき、スピッツを入れ替えるときの多少の揺れなどが患者の恐怖を煽るというやつ。(と思う)

ただメリットもあります。経営的にコスパがいいのはこちら。翼状針に比べシンプルな作りなのがわかりますでしょうか。そして、医療者の針刺事故リスクが低いという統計も出ています。ややこしい操作がなく、採血後はすぐに破棄すればいいということ。

 

翼状針+ホルダーはというと、ルートがあるので逆血が確認できる。スピッツの入れ替え時は、固定が安易なので直接は揺れずにスピッツの交換できるので患者さんは安心というもの。

今は翼状針+ホルダーを好んで使う方が多いかと思います。実は私も翼状針つきホルダーしか使ったことがない。

いいことだらけだし、やっぱり採血針+ホルダーよりも翼状針ホルダーを毎回使った方がいいんじゃない?と思っちゃいます。しかし実はメリットだけをみるのではなく、どちらもメリット・デメリットを比べ自己で選択する知識が求められているんです。

例えば、めちゃいいと思われるホルダー+翼状針のデメリットは

    • 針刺し事故リスクが高い
    • ルートがあるため凝固しやすい
    • 血ガスは取れない
    • コストがかかる

どちらを選ぶかは自己判断する必要があります⭐️

 

真空管採血、スピッツを差し込む順番

今回も私の病院でよく使われるスピッツをモデルに説明します。病院によって採用されているスピッツは多少変わりますが、色や検査項目自体はほとんど一緒です。

はい、それでは本題です!

採血針+ホルダー の順番

ホルダー採血

1番目は凝固、もしくは生化。一般的に2通りの順番があるため、凝固か?血清か?悩みどころなんです。今回も「標準採血ガイドライン」をもとに引用しております。

標準採血ガイドラインでの順序は以下の2通り。

①凝固用検査採血管 ①血清用採血管
②血沈用採血管 ②凝固用採血管
③血清用採血管 ③血沈用採血管
④ヘパリン入り採血管 ④ヘパリン入り採血管
⑤EDTA-2K入り採血管 ⑤EDTA-2K入り採血管
⑥解糖阻害剤入り採血管 ⑥解糖阻害剤入り採血管

通常は1番目に凝固検査用採血管に採取し、穿刺に時間を要した場合や特殊な項目の検査を含む場合は1番目に血清用採血管に採取する」

一般的に凝固が1番です。しかし、採血直後は組織液の混入があり凝固しやすい。そこで凝固の検査結果にも少し影響があるかもしれません。

「通常は凝固が先。でも血清を1番にするときもある」と覚えておくといいと思います。

血清を1番にするのは例えばこんな時。

  • 1本目の採血管は針を刺したときの組織液が混入するため凝固しやすい。凝固検査値への影響最小限にしたい時は血清用から。
  • 採血困難で穿刺までに時間がかかった場合、細胞内からKが流出する可能性が高くなるため血清用から先にとっておく。

どうしても分からない時は、検査技師さんに順番を聞くのもありだよ

 

翼状針+ホルダー の順番

ホルダー採血

これを使われる方が多いと思います。気をつけてほしいのは、翼状針を用いてホルダー採血を行った場合、翼状針のチューブ内に残る血液量の分だけ、1番目の採血管に採取する血液量が不足するということ。

スピッツは陰圧です。入る量が決まっているので、チューブ内の空気が最初に入ってしまい、スピッツの陰圧が解除され、必要血液量が入らないってわけ。

標準採血ガイドラインによる順番はこちらも2通り。

①血清用採血管 ①ダミー管
②凝固用採血管 ②凝固用採血管
③血沈用採血管 ③血沈用採血管
④ヘパリン入り採血管 ④血清用採血管
⑤EDTA-2K入り採血管 ⑤ヘパリン入り採血管
⑥解糖阻害剤入り採血管 ⑥EDTA-2K入り採血管
 ー ⑦解糖阻害剤入り採血管

お分かりでしょうか?凝固・血沈は2番目以降。たったそれだけを覚えていればOK。

もしも生化検査がない場合、もしくは採血量の正確性が要求される凝固用や血沈用しかない場合は、最初にプレーン採血管(いわゆる “ダミー” 採血管)を差し込み、チューブ内を血液で満たした後に目的の採血管に採取します 

ちなみに私は高確率で、翼状針ホルダー採血で血清用採血管(生化)からいきます❗️採血針+ホルダーには未だ挑戦したことがない・・。

 

さいごに

どうだったでしょうか?

真空管採血でも翼状針をつけるだけでこんなに違いが。ちなみにみんな大好き翼状つきホルダー採血では血ガスはとれません😂

血ガスの場合は、シリンジ採血をおすすめしますぞ。

 

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