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患者に寄り添う想像力を鍛える 看護学生におすすめの闘病記(脊髄損傷)

「治らない病気」「改善しない症状」「治療法が確立していない」であればあるほど 患者の思いに寄り添う難易度は高くなっていく。

ただ今、代表的な看護のひとつである「患者の思いに寄り添う」に苦戦中・・

突然の事故で、胸から下が麻痺となり寝たきりになった成人男性を受け持っています。毎日何をどうしたら良いのか、さっぱり分からない。

どの教科書・参考書をみても「個別性に合わせて寄り添う」という抽象的な表現しかない。こんな大切な看護なのに。

評価もできない上に、正解もない、答えの見えない世界で路頭に迷っています。

そんな時、看護学校の図書館で出会った闘病記を読んで、これだ!と思いました。患者の思いに寄り添うには参考書ではない、必要なのは闘病記でした。

おすすめ闘病記まとめています。

闘病記闘病記おすすめ

患者に寄り添う想像力を鍛える看護学生におすすめの一冊

  • 脊髄損傷になったときの気持ち
  • 治療やリハビリを受けるときの気持ち
  • 希望はあるのか、あるとしたらどんな希望
  • どんな言葉で傷つけてしまうか
  • 具体的に必要としている看護
  • 手伝ってほしいこと
  • 手伝われることの多い生活について素直に思うこと

患者さんに聞いた方が早いのだが、直接聞いてしまうと傷つけてしまいそう、ご迷惑かなと思うと聞けずにいました。

闘病記の良いところ

闘病記は、病院、学校での座学では学べない病気と闘っている患者ことを多面から知ることができます。
闘病記は、喜怒哀楽が含まれていて日々の生活のしづらさや生きずらさ。そして援助される申し訳なさ、痛み、苦しみ、人間としての思いを知ることができます。

そして1番の見所は、どんな状況の人からも希望を見出すことを学べます。私たち医療者は自己の想像力を最大限に発揮し、患者と共に希望をみることです。

受け持ち患者さんは脊髄損傷で寝たきり

ある日突然の事故により、胸から下が動かない身体になりました。頸髄第3以上の損傷はないので、幸いにも自発呼吸できます。手は両小指がかろうじて動く、腕が付随運動する、というレベルでした。

もちろん排泄はオムツ、お腹に力も入らないので、2日に1回摘便をします。

成人期の大黒柱の男性でした。すっごく落ち込んでしまいそうなこんな状態であるにも関わらず、ご近所に笑い声が聞こえるほど豪快に笑う、ビックリするほど明るい方でした。☺️

こんな体験をした、すごい心の強い患者さんに、私なんかがなんの役に立つ?と疑問ばかりで毎日をすごしました。そのせいか浅い関わりしかできずに過ぎていく日々でした。

しかし、日常生活は全介助。こんなに明るい全介助の人・・初めてみた。という感じ。

 

思い切って今の気持ちを聞くと「一番苦しいのは幻肢痛」と答えました。「何の薬を飲んでも幻肢痛には効かない。どんなリラクゼーションでも効くのはその一瞬だけ。」

看護教員にそのことを相談すると、「魂の本音じゃないの?」と一言。「麻痺している部分に、あるはずのない痛みがある。」と話す患者さんの話をただ聞き続け、かける言葉を考えてはいるが、何も言えないまま終わってしまうことは良くあることです。

この患者さんの笑顔の奥に隠された、気持ちを汲み取れないままただ、悲しい現実がそこにあるのを見ているだけ。患者の気持ちに今こそ寄り添いたい。

闘病記の本を読めば何か分かるかも!と思い学校の図書館へでみつけたこの闘病記!すっごく良いです。

「でもやっぱり歩きたい」滝野沢直子

ある日、窓から落ちて首の骨を折り、頸髄損傷で寝たきりになり、全面介助になった看護婦が、車椅子生活から自立に向けての闘いを綴った手記。
看護やリハビリテーションを根本から考えさせる迫力に満ちた記録です。

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でもやっぱり歩きたい―直子の車椅子奮戦記、中古品-¥75円より

23歳の女の子、看護師1年目、ノンフィクションのお話です。

ユーモアある文章で、分かりやすく気持ち伝えてくれていて、読み始めると夢中になってしまいすぐに読み終えました。

“他の患者がリハビリによって良くなっていくのを見て「良かったね」と言う反面、心の中ではそう素直に思えない自分がいた。”

障害があってもなくても、たまに黒い心になってしまう私たち。そんな心をありのままの気持ちを素直に言葉で表されていて、私は共感できたし、もっと知りたいとも思いました。

脊椎の損傷部位はC6。足はまったく動かない。その動かない足を見て最初に思ったことは

“ちゃんとそこには20年間一緒に歩んできた私の足があった”

“動かない、変な身体になっちゃったな”

なんとも身近に感じてしまうこの言葉、そうだよな。身体が動かないなんて最初から受容できるはずもない。

新しく(?)動かなくなった身体の不思議を感じるところから始まるんだね。

「足は動けません」と言われても、人として歩きたいよ。そんな人間的な文章で綴ってくれた素直な感情。

 

明日、突然の事故や・外傷・病気で足が動かなくなってしまうかもしれないなんて考えたこともない。

改めて自分の足みて、30年間も共に歩んできた足に感謝。

まとめ

闘病記を読んで、相手の思いを想像する。

どんなに動かない足だと言われてもやっぱり歩きたいという希望を持ってます。

患者さんと出会うのは、ほぼ病気や障害を患ってから。私たち医療者は、希望と同時に絶望を与えている一因であることも忘れてはいけないことですね。

患者さんが歩んできた今までの人生について知ることで救われることがあります。

現在だけを見るのだけでなく、今までの生活、そしてこれからの希望を失わず生きていけるよう寄り添うことが大切なこと。
 
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