看護実習お役立ち

成人看護実習で使えるラパコレ術後看護や合併症について

こんにちは☺️お久しぶりに看護系投稿します。今回は外科系のマイナーオペである「ラパコレ」について。看護実習・看護師になったときに使えるよう知識の共有していきましょう。

ラパコレとは

ラパコレ(腹腔鏡下胆嚢摘出術)とは、腹腔鏡下胆嚢摘出術のことです。 腹腔鏡下胆嚢摘出術を意味する英語、Laparoscopic Cholecystectomyを略して「ラパコレ」といいます。

最近では、侵襲の小さい腹腔鏡下で行うことが多く、「胆嚢を摘出します〜っ」て時はラパコレが第一選択になっているかと思います。

胆嚢摘出術は、胆石症・胆嚢炎などで合併症を伴うもの、また痛みがあるもの、胆石が大きい時などに適応となっている手術です。主な疾患は、「胆石症・急性胆嚢炎・胆嚢ポリープ・胆嚢繊維症」があります。

外科の患者さんの中には必ずと言っていいほどいます。看護実習や看護師になってからも使える知識の共有となっています!どうぞ最後までお付き合いください。

ラパコレ=腹腔鏡下胆嚢摘出術の方法

最初に、手術野を確保しなければならず、その方法として気腹法を取り入れている施設が多いので今回こちらで説明させていただきます。

①最初に臍下部に約1.5cmの皮膚横切開を行い、腹腔内に気腹針を刺入して炭酸・心窩部・前腋窩鎖骨線上に刺入します。

②胆嚢動脈と胆嚢管を剥離し、クリップをかけて切離する。

③胆嚢を胆嚢床からていねいに剥離し、完全に剥離できたら、臍部のポートから体外へ摘出します。

④その後、感染防止・止血・胆汁露出のため腹腔内を十分に洗浄しドレーンを留置します。

⑤臓器損傷のないことを確認してトロカールを抜去し、腹壁を圧迫して炭酸ガスを排出させ、皮膚を縫合します。

※手術時間の延長、高度な癒着がある場合、止血困難な出血、臓器損傷、予測できなかった病態がある場合は、開腹手術へ切り替えることがあります。

手術の身体への影響と合併症

  • 気腹法による横隔膜が押し上げられて肺の換気量が減少、または炭酸ガスによって動脈血炭酸ガスや呼気終末炭酸ガスが上昇したりする
  • 炭酸ガスがトロカール刺入部から皮下に漏れることによる皮下気腫
  • 腹腔内圧上昇による静脈の還流障害や心拍低下
  • まれに炭酸ガス血栓症の危険
  • 出血は重要な合併症‼︎であり止血困難は場合は開腹手術へ切り替える(胆管損傷は開腹手術の数倍とも言われています)
  • 乾燥した炭酸ガスによって体温が34〜35℃になり抹消血管の収縮・震えが起こり 麻酔から覚醒時に強い不快感と冷感を感じる
  • クリッピング・電気メスによる穿孔や裂傷 手術中に発見されれば開腹手術によって修復できれば予後は良い。ただ術後である場合、胆汁性腹膜炎・敗血症など併発し、治療に難渋することもあります
  • 術中の体位によって、下肢深部静脈血栓を形成してしまい、それによる肺塞栓を起こす可能性
  • そして術後疼痛!!創部は小さいと言われても、術後24時間は持続的な疼痛があり、2〜3日は断続的に軽い痛みがあります。術後、肩痛を訴える患者さんもおり、これは気腹の合併症の1つであると言われていて、腹腔内に残存している炭酸ガスによる横隔膜の刺激・伸展が原因であると言われています

術後の一般的な回復

安定した過程をたどる患者さんが多い。

手術当日または翌朝から水分摂取可能となります。抹消静脈から抗生物質が投与されます。バイタルサインや尿量の変化をきたしやすい時期であり、手術時に挿入されたドレーン(挿入していないこともある)からに排液にも要注意。

呼吸・循環が安定し、尿量も確認されたら膀胱留置カテーテルが抜去されます。

腸蠕動運動が回復し、食事摂取・立位・歩行が可能となっていきます。抗生物質は内服へと変更。

血液検査・胸部X線撮影し異常の有無を確認。腹腔内ドレーンは、廃液に異常がなければ術後1〜2日目に抜去となります。

術後合併症もなく経過が順調であれば、術後3〜5日目に退院となります。抜糸は術後7日目ごろに外来受診で行われることが多いです。

術後の生活への影響

胆嚢は、肝臓から分泌された胆汁を一時的に貯留・濃縮し、食物の摂取に応じて十二指腸に流出させますね。しかし、胆嚢を摘出してしまったので、濃縮されない胆汁が十二指腸に流出し、脂肪の消化が妨げられてしまうために、脂肪を多く含む食品を摂取すると胸焼けがあったり、下痢をしたりすることがあります。

普通食でこの症状が生じることは少ないのですが、もし症状があれば脂肪を多く含む食品を制限します。

また胆嚢摘出後症候群もあります。術後、右上腹部痛や発熱・黄疸などの総称となっています。原因は、術前診断の見落とし、粗暴な手術操作・胆管狭窄・膿瘍などがあります。心因性のこともありますので、逆行性膵管胆管造影や経皮的胆管造影などによって原因を確認し、必要な治療を行なっていきます。

術後看護

基本的には、腹腔鏡下手術の利点を最大限に生かし、早期に社会復帰できるよう援助することが大切となっています。

主な術後合併症は術後出血、術後に判明した胆管損傷、創感染、肩痛、皮下気腫があります。また高炭酸ガス血症、低体温、術後無気肺、疼痛の緩和についてもしっかり看護・観察して行くことが大切です。

  • 手術当日から翌日までは、全身麻酔や手術によって生理的機能が低下しています。バイタルサイン・尿量・心電図モニター・呼吸器症状・腸蠕動音・疼痛の部位・などの前身状態の把握。
  • 具体的な観察項目は「疼痛や腹部膨満感の増強、腸蠕動音の回復・排ガス・排便の遅延・発熱・血圧低下・腹腔内ドレーンの排液の色の変化(血液・胆汁)混濁、異常な臭気。
  • 下肢静脈の還流を促進するために弾性ストッキングの着用、間欠的空気圧迫装置を装着したりすること。また、下肢の自動運動・他動運動、頻回の体位交換、早期離床が必要です。

患者へも異常な症状を自覚したときは看護師へ伝えるよう指導を行います。

退院後に発熱や腹痛・腹部膨満感・腹壁の緊張・黄疸を自覚することがあれば、遅延性の臓器損傷による腹腔内膿瘍や腹膜炎・あるいは胆嚢摘出後症候群が考えられます。このような異常を感じたら、速やかに受診するよう指導することも重要です

まとめ

腹腔鏡下胆嚢摘出術は1987年フランスで行われました。日本では1990年から行われて以来、低侵襲手術として急速に発達してきました。しかし、手術視野が限られる難点があり、予測できない臓器損傷を起こしたり、それがみすごされたりすることがあります。しかし、患者への身体への侵襲がかなり少ない、しかも小切開で創部痛が少ない、術後の行動なども大きく変わり、早期退院が目指せる、入院治療費の節約などにも多くの利点があります。

高度な技術が要求されるものの、手術後のQOLには大きく貢献しています。

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