最近増えてきていると言われている川崎病。年間では約1万5千万人が発症するといわれています。
私は看護実習では川崎病児の受け持ちは残念ながらありませんでした。しかし同じグループメンバーは受け持ちしていました。私の働いている小児科でも、数人います。
いずれ小児科へ就職希望しているなら、川崎病は学び必須。実習先に川崎病患児がいるなら率先して受けもちすると良いと学びになると思います。
川崎病とは
川崎富作博士が発見し「川崎病」と呼ばれています。
主に乳幼児が罹患する急性発熱疾患であり、小児急性熱性皮膚粘膜リンパ節症候群(MCLS)とも呼ばれます。全身の中型血管の炎症を主体とし、一部に冠動脈の拡張や瘤を合併する事が特徴です。
http://www.nanbyou.or.jp/entry/3240難病情報センター
好発年齢は1歳前後から4歳ぐらいで、女の子に比べて男の子が1.5倍くらい多いといわれてますが、私の病棟に来る川崎病の子は女の子が多い印象。
でも統計にすると男児が多いんだろうね。
川崎病の原因
夏と冬に発生が多く、地域流行性があることから何らかの病原体との関連が示唆されていいます。又、特定の腸内細菌との関連や遺伝的素因の関与も明らかにされていますが、現時点では発症の原因は不明です。又、冠動脈を中心に合併症が起こる機序も解明されていません。
http://www.nanbyou.or.jp/entry/3240難病情報センター
発症の原因は不明ですが、上気道感染後に発症することが多いことから、EBウイルス、ブドウ球菌やグラム陰性菌由来のエンドトキシンなどの感染説があるようです。
多因子説は個人の遺伝的要因が発症背景にあり、川崎病惹起物質に曝露して血管炎が誘発されるという難しい説もあります。兄弟で発症することもあるようなので、何が一因かはなんとも言えないですね。
原因はかなり難しいところであり、まだ研究途中。しかし今は治療方法は確立しているので、恐れることなく治療に挑んでほしいと思います。
川崎病の症状
主要症状は次の通りです。
1)5日以上続く発熱
2)両側眼球結膜の充血
3)手足の硬性浮腫、膜様落屑
4)皮膚の不定型発疹
5)口唇口腔咽頭粘膜のびまん性発赤、いちご舌
6)有痛性非化膿性頸部リンパ節腫脹
初回の免疫グロブリン大量療法に不応な例の約25%に冠動脈拡張・瘤形成が合併します。一部の症例では巨大冠動脈瘤を合併し、血栓や冠動脈瘤破裂による心筋梗塞の可能性もあります。
http://www.nanbyou.or.jp/entry/3240難病情報センター
https://www.jbpo.or.jp/kd/川崎病、免疫グロブリン療法を受ける方へ
6つの症状のうち、5つ以上又は4つ以上に加えて冠動脈病変が確認された場合に「川崎病」と診断されます。しかし、症状が3つ以下の場合や冠動脈病変がない場合でも「川崎病不完全型」と診断されることあります。
私の病棟では、完全型の川崎病の方が少なく。不完全型でありながら、川崎病という暫定診断が出たときに、できるだけ早くに治療を開始します。それは、1番怖い合併症を防ぐため。いわゆる「管動脈瘤」です。
川崎病の治療・経過
免疫グロブリン大量療法が標準治療であり、通常血栓予防にアスピリンを併用します。この併用療法により48時間以内に解熱しない、または2週間以内に再燃が見られる場合を不応例とし、免疫グロブリンの再投与や副腎皮質ステロイド剤の投与、血漿交換療法、シクロスポリンの投与などが試みられています。近年、TNF阻害薬の有効性も報告されています。
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治療経過
急性期(発病から10日間)・・・多くの症状が現れる時期です。この時期は全身の炎症症状を抑える治療(免疫グロブリン大量療法、アスピリン内服)が大切。
急性期目標は、冠動脈拡張、冠動脈瘤の発症頻度を最小限にするために、強い炎症反応を可能な限り早期に終息させることが目的な時期。
重症度によっては、この時期にグロブリン治療+アスピリン内服に加えてステロイド薬が使われることもあります。
アスピリンは、血管の炎症を抑える効果と血液を固まりにくくすることによって血栓を予防します。軽症のときはアスピリン内服のみの治療のときもあります。
重症にせよ、軽症にせよ、アスピリンは必ず内服します。もともと粉薬を嫌がって飲まない場合など、暴れてしまって飲めなさそうなときは看護師が手伝ってでも内服させています。
回復期(発病から10日~1ヵ月)・・・熱が下がってきて症状が落ち着いてきます。元気になる時期なので、怪我に注意が必要。また、他からの感染も注意。
遠隔期(1ヵ月後~)・・・この時期は、急性期の合併症の程度で変わります。アスピリンも長くて3ヶ月後くらいまで飲むこともあります。治療が終わって退院後も、定期的に通院するフォローがおすすめ。
というか心エコーでフォローされるべき。それがない病院なら定期的に経過をみてくれる医院へ変えることを検討してもいいかも。
合併症
冠動脈流が残った患者さんは治療と生活の管理が必要なので、主治医とよく相談します。
川崎病の子どもをもつ親の会もあります→https://kawasaki-disease.gr.jp/
私たち病棟では、川崎病児が入院したときに家族へ1冊の本を渡しています。
川崎病について知りたいとき、また小児科で勤めていくなら自分で持っていても良いというくらいわかりやすく質問をまとめた1冊。
看護過程
看護問題
看護問題に以下を挙げましたが、優先順位はその状態に変更可能だし、不要なものは削除します。新たに必要な問題は計画を立てます。
#1全身性血管炎による高熱の持続
#2件体感、もしくは口唇粘膜症状による栄養摂取不足
#3処置・検査による精神的ストレス
#4冠動脈の炎症により動脈瘤の形成、合併症を起こす可能性
#5危機回避能力未確立による転倒リスク
#6母親の不安
看護目標と計画
O-P
- バイタルサイン
- 川崎病主要症状の持続、消失の程度
- 食事・水分摂取量
- 排尿・排便
- 血液データ
- 母親の不安の訴え
T-P
- クーリングを行う(アスピリンを内服しているときは解熱剤は基本使用しません)
- 輸液・薬剤管理
E-P
- 川崎病に特徴的な症状について説明する
- 児から目を離す際は、転倒転落防止に注意するよう説明する
- 不安な点があれないつでも相談できることを伝える
まとめ
実習で使える川崎病看護課程でした。
熱が高く、いつもと違って機嫌が悪い、食べない・飲まない・・と不安になってしまうのが親心。そんなときに寄り添える看護師でいたいものですね。