ゼーゼー、ヒューヒューは喘息でよく聞く症状のひとつ。
喘息は本人はもちろん、みている周りまでもが苦しくなる症状ですね。
喘息はただ苦しいだけでなく、死に至ることのある怖い病気であることを知らない人が多いようです。実際に、喘息による死亡率の調査を始めた1950年は年間18,000人もの患者さんが喘息で亡くなっていました。今は年々減少していますが、それでも2014年に年間1500人。その内の9割が高齢者だといわれています。(参考にしたのは、気管支喘息-厚生労働省)
高齢者化社会になので、喘息での死亡率は今後高くなると予想されています。
それでは気管支喘息です。
今回は小児喘息のついてです。大人に当てはまるか保障はできませんので・・。
気管支喘息とは
過敏性を持った気管支に慢性的に炎症があり、ある刺激因子が作用して気道狭窄が生じ、笛性喘鳴を伴う発作性の呼吸困難を繰り返す疾患のこと。
➀非発作時は
気道に慢性炎症およびリモデリングといった組織変化が存在する。
・気道慢性炎症
・リモデリング(粘膜上皮の杯細胞化生、基底膜の肥厚、気道平滑筋の肥大などの組織構成要素の変化のこと)
➁発作時
気道過敏性の気管支が、アレルゲンの暴露によりⅠ型アレルギー反応(IgE)を起こし、気管支粘膜の好酸球、肥満細胞、リンパ球、好中球を刺激して、化学伝達物質や炎症細胞動員因子を遊離する。
それらが気管支平滑筋を収縮させ、湿性咳嗽が連続して起こります。さらに、気管支粘膜の腫脹で気道内腔が狭窄し、吸気より呼気障害が強く現れ、呼気性喘鳴が著明に聴取される。
発作誘因子、アレルゲン
ダニ、ほこり、カビ、ペットの毛、花粉
呼吸器感染症、たばこの煙、天候、運動、ストレスなど
喘息の症状
努力呼吸
鼻翼呼吸、陥没呼吸(吸気時に陥没:胸骨上窩、鎖骨上窩、肋骨)
肩呼吸、起座呼吸(臥位が取れず、座位を好む)
多呼吸(呼吸数の増加)、呼気の延長
喘鳴
笛性喘鳴(ヒューヒュー:呼気相で強く聞かれる高調性の連続音)
咳嗽・喀痰
喘息の治療
治療の基本は、気道の炎症を抑制し、無発作状態をできるだけ長期に維持すること。
非発作時
非発作時にも存在する気道炎症を抑える長期管理を行う。
発作時
発作の重症度を評価し、程度に応じた治療の選択を行う。
小発作・・・β2刺激薬吸入(反復吸入を含む)を行う。
中発作・・・初期治療開始、場合によって入院
➀酸素投与の必要性:SpO2 を測定し、SpO2 ≧ 95%となるように酸素投与を行う。
➁β2刺激薬吸入:β2刺激薬吸入をネブライザーで吸入させる。吸入後15~30分で効果 を判定するが、改善が不十分であれば20~30分ごとに3回まで反復することができる。
初期治療で十分に改善しない場合・・・外来では2~3時間程度を目安に以下の治療を行い、その間に入院の適応を考慮するが、2歳未満では入院加療とすることが望ましい。
➀全身ステロイド薬投与
➁アミノフィリン点滴静注、持続点滴
中発作に対する治療に反応良好の場合は、帰宅として経過観察・指導。中発作に対する治療に反応良不良の場合は➀入院治療、➁合併症検索・他疾患の鑑別
大発作・・・入院して治療
➀酸素投与、末梢血管ルート確保
➁β₂刺激薬吸入・ステロイド薬全身投与
➂イソプロテレノール持続吸入療法
➃アミノフェリン静注、持続点滴
追加治療
➀人工呼吸器管理
➁アシドーシスの補正
➂気管挿管による人工呼吸管理
急性発作に対する医療機関での対応フローチャートあります。(2歳未満、2~15歳)
検査
- 胸部Ⅹ線検査で肺の過膨張所見
- 肺機能検査:スパイログラム、フローボリューム曲線、ピークフロー
- 気道炎症所見:鼻汁や喀痰中の好酸球、肥満細胞、呼気中一酸化窒素eNO
- 血清総(非特異的)IgE、特異的IgE抗体
- 既往歴やアレルギー疾患の家族歴
非発作時の看護
➀発作の予防行動獲得に向けた指導が必要
・アレルゲンの除去:室内環境調整、特にダニアレルゲンを室内から排除する。
・治療薬の確実な使用(内服、吸入、貼付)
吸入方法の指導と確認。とくに定量吸入器やスペーサーの使用は練習が必要。
・呼吸状態のモニタリング:喘息日誌、5歳を目安にピークフローメーター使用
・上気道感染症の予防、副鼻腔炎の治療
・規則的な生活と適度な運動と活動
➁発作時の対処方法の獲得
・安楽な体位:座位、ファウラー位、抱っこ
・呼吸リズムを整える:不安から過呼吸になるため、背部をさすり、深呼吸をさせる
・水分摂取
・排痰を促す:有効な咳を促す。咳嗽時背部をさすり、痰を吐き出すタイミングを促す
➂ストレスのコントロール
・本人が療養管理に参加できる環境の整備
・学校行事やスポーツに参加し、活動制限を最小限にする、保育園や学校の協力を得る
発作時の看護
➀呼吸困難の緩和
発作時の対処方法の獲得を実施
治療薬の吸入や酸素吸入の実施
気道分泌物の吸引、体位ドレナージ、スクイージング
➁不安の緩和
・患児を一人にしない、家族の不安に対応する。
・治療処置の理解を促すプレパレーション
・不穏時は鎮静を考慮する
➂疲労、倦怠感の緩和
・治療処置の時間調整による睡眠や安静の確保
・安楽な体位の工夫、低めの室温、静かな環境
看護過程
看護問題
#1、内服管理、定期吸入忘れによる喘息発作のリスク
今後も発作を起こさないことが課題となる。そのため、吸入を継続して実施し、感染予防に努め、生活への工夫が必要であることを問題にあげ、看護計画・目標を立てます
アセスメントと優先順位
喘息発作の重篤度によって優先順位は変わります。
喘息発作の予防に焦点を当てたのは、退院後のケア方法によって再発を防ぐことができると考えるからです。上でも述べたように、死亡率はゼロではない。発作予防することが一番の治療にあなります。
また、今回発作が重篤になってからの来院となっていたので、適切な判断は重要です。
看護目標
#1長期目標:喘息発作を起こさない
短期目標:正しく吸入することができる
私の病棟では、喘息で何度か入退院を繰り返すとこですはm、内服管理ができていないことが多く、小さい時は親の手にかかっています。
#1に沿って、指導するのもあり!
まとめ
症状がなくなるとぜんそくがよくなったと思い、自分の判断で薬を減らしたり、やめる人がいます。
しかしぜ んそくの重症度は、症状ではなく、コントロールするために必要な薬や対策でわかるのです。吸入ステロイド剤でよくなっている人は、吸入ステロイド剤が必要 なひどさだということです。勝手に薬を減らしたり中断すると、「軽快」にさえなかなかたどりつきません。
喘息による死亡率が減ったのには、吸入ステロイドよと呼ばれる予防治療の功績があります。
上手く予防していくことを両親と考え、子どもうちに喘息治癒を目指していきたいですね。
最後までお読みいただきありがとうございました。